相続関係説明図の作成

相続手続きを進める際に必要となる書類の一つに「相続関係説明図」があります。

これは、亡くなった方(被相続人)と相続人の関係を図式化したものであり、銀行や法務局での各種手続きをスムーズに進めるために活用されます。

本記事では、相続関係説明図の目的や作成方法、注意点について詳しく解説します。

相続関係説明図とは?

相続関係説明図とは、被相続人とその相続人との関係を明確に示した図のことです。戸籍謄本の内容を分かりやすく整理したもので、登記申請や金融機関での手続きの際に提出を求められることがあります。

特に、不動産の名義変更(相続登記)を行う際には、法務局への提出が必要となるケースが多く、適切に作成することが求められます。

相続関係説明図を作成する目的

相続関係説明図を作成する目的は、主に以下の点にあります。

  • 相続人の範囲を明確にする
    相続人が誰なのかを視覚的に整理することで、手続きを円滑に進められます。
  • 手続きの効率化
    戸籍謄本を一つずつ確認する手間を省き、登記官や銀行担当者がスムーズに相続人を確認できるようにする。
  • 相続人間のトラブル防止
    相続人全員が関係を正確に把握できるため、誤解や認識違いを防ぎやすくなります。
  • 戸籍謄本の代替としての利用
    相続登記の際に戸籍謄本の原本還付を希望する場合、相続関係説明図を添付することで可能となる場合があります。

相続関係説明図の作成手順

相続関係説明図を作成する際には、以下の手順に沿って進めます。

1. 必要な戸籍謄本の収集

まず、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本や、相続人の戸籍謄本を取得し、相続人を確認します。

これにより、法定相続人が誰であるかを正確に把握できます。

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2. 相続人の特定

取得した戸籍謄本をもとに、誰が相続人に該当するのかを特定します。民法の規定に基づき、法定相続人を決定し、配偶者や子供、親、兄弟姉妹などの関係を整理します。

なお、養子縁組や認知された子供など、特別な事情がある場合には、慎重に確認が必要です。相続人が死亡している場合は、その代襲相続人(孫や甥・姪など)も含めて整理する必要があります。

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3. 相続関係説明図の作成

相続人が確定したら、被相続人を中心にした家系図のような形式で図を作成します。一般的には以下のような要素を含めるのが望ましいです。

  • 被相続人の氏名と死亡日
  • 配偶者の氏名(存命・故人の区別)
  • 子供の氏名(存命・故人の区別)
  • 直系尊属(父母)の氏名(必要に応じて)
  • 兄弟姉妹の氏名(必要に応じて)
  • 代襲相続人(孫や甥・姪)の氏名(該当する場合)

作成時には、関係性が分かりやすいように矢印や線を使い、見やすいレイアウトを心掛けましょう。市販の相続関係説明図のテンプレートを活用するのも一つの方法です。

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4. 確認と修正

作成した相続関係説明図が戸籍謄本の内容と一致しているかを再確認します。誤りがあると、手続きが滞る可能性があるため、慎重にチェックしましょう。

必要に応じて、司法書士や行政書士などの専門家に内容を確認してもらうと安心です。

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5. 提出書類として活用

相続関係説明図が完成したら、登記申請や銀行手続きの際に提出します。法務局によっては、提出された戸籍謄本を返却してもらうために相続関係説明図の添付が求められることもあります。

また、複数の金融機関に提出する場合は、コピーを準備しておくと手続きがスムーズになります。

相続関係説明図を作成する際の注意点

相続関係説明図を作成する際には、以下の点に注意しましょう。

  • 戸籍の取り寄せ漏れに注意
    相続人を正確に特定するために、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本をすべて取得する必要があります。
  • 正確な情報を記載する
    誤った記載があると手続きが遅れるため、氏名や生年月日、続柄などの情報を正確に記載しましょう。
  • 相続人が多い場合の整理
    相続人が多数いる場合、図が複雑になりがちです。見やすいレイアウトを意識し、分かりやすく整理することが大切です。
  • 専門家に相談する
    相続関係が複雑な場合や、作成方法に不安がある場合は、司法書士や弁護士などの専門家に相談するのが安心です。
  • 公的機関の指示を確認する
    提出先の機関によっては、特定のフォーマットを求められることがあるため、事前に確認しておくとスムーズです。

法定相続情報証明制度との違い

相続関係説明図は、被相続人とその家族・相続人との関係を図式化したもので、相続登記や金融機関での手続きなどにおいて、相続人の立場を補足的に説明するための資料として用いられます。

この図は、相続人自身で自由に作成することができ、特に定まった様式もありません。

手書きやパソコンで作成することができ、戸籍謄本などを添付することで、相続関係を第三者にわかりやすく示す役割を果たします。ただし、相続関係説明図自体には法的な証明力はなく、あくまで補助的な資料として扱われます。

一方、法定相続情報一覧図は、相続人が戸籍謄本などの一式を法務局に提出し、法務局がその内容を確認したうえで正式に作成・発行する公的な証明書です。法務局による認証が加わることから、公的な証明力を持ちます。

一度取得すれば、相続に関するさまざまな手続きにおいて、戸籍謄本一式の代わりとして利用することが可能です。たとえば、複数の金融機関に対して相続手続きを行う場合でも、法定相続情報一覧図を提出することで、戸籍の原本をを何度も提出する手間を省くことができます。

このように、相続関係説明図はあくまでも相続人の手作り資料であり、説明の補助を目的としたものですが、法定相続情報一覧図は法務局が発行する正式な証明書であり、相続手続きを効率的に進めるための実用性がとても高い文書です。

まとめ

相続関係説明図は、相続手続きを円滑に進めるために非常に役立つ書類です。適切に作成することで、戸籍謄本の内容を整理し、手続きの効率化やトラブルの防止につながります。

作成時には、戸籍謄本を正確に確認し、法的要件を満たした形で作成することが重要です。相続手続きは複雑なことも多いため、必要に応じて専門家のアドバイスを受けながら進めると良いでしょう。

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