本記事では、遺産相続手続きの流れを徹底解説します。司法書士によるサポートや手続きに必要な書類、期限についても詳しくご紹介し、遺産相続に関するお悩みを解決します。
また、遺産分割や税務上のトラブル対策も取り上げますので、遺産相続手続きをお考えの方は必見です。
ぜひ本記事を参考に、遺産相続手続きをスムーズに進めてください。
このページの目次
遺産相続手続きの流れ
遺産相続手続きは、戸籍謄本の収集や金融機関から書類の取り寄せ、遺産分割協議書の作成、相続登記手続き等、多岐にわたります。
遺産相続手続きの流れは、以下のようなステップで進められます。具体的な手続きは状況によって異なりますが、一般的な流れを説明します。
1. 相続が発生してから7日~14日以内に行う手続き
- 死亡届の提出、火葬許可証、埋葬許可証の取得
- 世帯主の変更届の提出
- 国民年金、厚生年金の受給停止の手続き
- 国民健康保険・介護保険の資格喪失の手続き

2. 遺言書の有無の確認
遺言書がある場合
遺言書がある場合、原則として遺言書のとおりに遺産を分けることになります。被相続人の遺品を探すほか、公証役場で遺言検索もできます。
- 公正証書遺言であればすぐに開封し、手続きをすることが可能です。
- 自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合、家庭裁判所での検認手続きが必要(自分で開封することはできません)。
遺言書がない場合
法定相続人で遺産分割協議を行います。

3. 相続人の調査と確定
戸籍謄本を取り寄せ、法定相続人が誰かを確認する。
必要書類:
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、住民票(または戸籍附票)

4. 相続財産の調査と評価:どのような財産があるのかを調査します。
- 不動産(権利証、登記簿謄本、固定資産税納税通知書など)
- 預貯金(通帳やキャッシュカード)
- 株式や有価証券(取引報告書など)
- 借金や負債
- 生命保険金等の受取人を確認
財産がすべて確定したら、財産目録を作成します。

5. 相続放棄や限定承認の検討
相続放棄は原則として、相続の発生を知ったときから3か月以内に行う必要があります。
- 単純承認
すべての権利と義務を引き継ぐ - 相続放棄
すべての権利と義務を放棄する、最初から相続人ではなかった扱いになります - 限定承認
財産の範囲内で負債を返済
※相続放棄や限定承認の場合、家庭裁判所に申立てが必要。

6. 所得税の準確定申告
準確定申告とは、亡くなった人(被相続人)が生前に納めるべきだった所得税の申告・納税手続きを指します。通常の確定申告と異なり、被相続人の死亡に伴って行う手続きです。
生前に確定申告が必要だった場合(個人事業主や不動産所得がある人、給与所得が2,000万円超、年金収入が400万円を超えていた場合)や申告しないと税金の還付が受けられない場合(医療費控除、住宅ローン控除の適用など)に必要となります。

7. 遺産分割協議と遺産分割協議書の作成
- 遺言書がない場合や、一部財産について協議が必要な場合、相続人全員で遺産分割協議を行います。全員の合意がなければ成立しないので、一人でも反対する相続人がいると協議はまとまりません。
- 協議の結果を書面にまとめ、相続人全員が署名捺印(実印)をしたものを遺産分割協議書といいます。この遺産分割協議書は、各種相続手続きや相続税の申告で使用しますので、協議がまとまったら必ず作成しましょう。

8. 各種相続手続き
- 不動産の相続登記(法務局)
- 銀行口座の名義変更や解約手続き
- 株式や有価証券の名義変更
- 自動車の名義変更
- 生命保険の死亡保険金の請求

9. 相続税の申告と納税
- 相続税は、相続財産などの課税対象財産の総額から、基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を控除した金額に対してかかります。
相続税の納税が必要となる場合は、相続税の申告が必要です。また、配偶者控除や小規模宅地等の特例を受ける場合も申告が必要となります。 - 相続税申告は10か月以内に税務署に提出する必要があります。
司法書士がサポートする相続手続きとは
司法書士は、相続手続きにおいて非常に重要な役割を果たします。特に、不動産の相続登記や法的書類の作成、戸籍調査といった法律に基づく正確な手続きが求められる場面で、その専門知識が大いに活用されます。
相続手続きで最も司法書士に依頼されるのは、不動産の名義変更、いわゆる相続登記です。被相続人の名義となっている土地や建物を相続人の名義に変更するためには、法務局への登記申請が必要です。
この手続きには、戸籍謄本や住民票、固定資産評価証明書など、多くの書類が必要となり、それらの準備や申請書の作成は複雑です。司法書士はこれらの書類の収集から登記申請までを一括して代行してくれるため、相続人にとって大きな負担軽減となります。
預貯金や株式といった金融資産の名義変更や解約手続きも司法書士に依頼することが可能です。銀行や証券会社への手続きには多くの書類が必要で、それぞれの金融機関ごとに異なる手続きが求められます。
司法書士はこれらの手続きを一括して代行し、スムーズに資産の相続をすることができます。その他、相続放棄の申述や遺言書の検認手続きも司法書士がサポートすることが可能です。
司法書士に依頼することで、相続手続きがスムーズに進み、相続人の負担が軽減されるため、特に不動産が絡む相続や手続きが複雑な場合には強くおすすめします。
遺産相続手続きと司法書士の活用法まとめ
遺産相続手続きには、戸籍謄本の取得、遺産分割協議、遺言書の検認、相続税の申告など様々な手続きが必要です。これらの手続きを円滑に進めるためには、司法書士や弁護士などの専門家のサポートを受けることが重要です。