
遺産整理とは、故人が遺した財産や負債を整理し、相続人が円滑に手続きを進めるための重要なプロセスです。
この記事では、遺産整理業務の基本的な概要から具体的な手続きの流れ、かかる費用や報酬について詳しく解説します。
さらに、司法書士や税理士などの専門家に依頼する際のメリットや、依頼先選びのポイントについてもご紹介。遺産整理を進めるうえで必要な知識や注意点についても分かりやすくまとめています。
また、専門家に遺産整理を依頼する際の方法や、どのようなサポートが受けられるのかも解説していますので、初めて遺産整理に取り組む方でも安心して進められる内容となっています。
本記事を参考に、遺産整理に関する不安や疑問を解消し、スムーズな相続手続きに役立ててください。
このページの目次
遺産整理業務の概要と役割
相続が発生した場合、遺産の名義変更は、不動産であれば法務局、預貯金であれば銀行、株式であれば証券会社で行わなければなりません。
さらに、名義変更や解約などの相続手続きの前提として、戸籍謄本の収集、相続人の調査、遺言の有無の調査、遺産の調査、財産目録の作成、遺産分割協議書の作成をしなければなりません。これらの手続きは複雑で難しく時間がかかり、さらに様々な法律の知識が必要となります。
そこで、当事務所が複雑で面倒な遺産相続の手続きを一括で代行する、遺産相続おまかせプラン(遺産整理業務)がおすすめです。
戸籍収集から遺産の調査、遺産分割協議書の作成、相続登記(不動産の名義変更)や預貯金の解約など、あらゆる相続に関する調査や手続きを、まとめて当事務所に依頼することができます。
遺産整理業務の具体的な内容
① 遺産の調査・把握
✓ 不動産、預貯金、有価証券などの資産の確認
✓ 借金やローンなどの負債の調査
✓ 被相続人の財産目録の作成
② 相続人の確定
✓ 被相続人の戸籍謄本を収集し、相続人を特定
✓ 相続関係説明図の作成
③ 遺産分割協議のサポート
✓ 相続人全員での遺産分割協議をサポート
✓ 遺産分割協議書の作成支援
④ 相続手続きの代行
✓ 相続登記(不動産の名義変更)
✓ 銀行口座の解約・名義変更
✓ 有価証券や保険金の請求手続き
✓ 相続税申告・納税のサポート
✓ 相続税の申告書作成と税務署への提出
✓ 納税資金の準備や分割払いの手続き支援
⑤ 遺産の分配
✓ 相続人への現金や資産の分配
✓ 不動産の分割や売却手続きの代行
⑥ 負債や未払い金の清算
✓ 被相続人の負債を特定し、清算手続きを進める
✓ 相続放棄の手続き支援(必要な場合)
※相続税の申告等の税務に関する業務は、税理士に依頼をします。
司法書士に遺産整理業務を依頼するメリット
司法書士に遺産整理業務を依頼するメリットは、相続に関する専門知識と、手続きのスムーズさを活かして、相続人の負担を大きく軽減できる点にあります。
以下に具体的なメリットを詳しく説明します。
1. 複雑な相続手続きをスムーズに進められる
書類作成の代行とミス防止
相続登記や遺産分割協議書の作成は法律に基づいて行う必要があり、複雑でミスが起こりやすいです。司法書士はこれらの書類作成を正確に代行し、不備による手続きの遅延を防ぎます。
法務局や金融機関とのやり取りも代行
不動産登記だけでなく、銀行口座の名義変更や解約手続きも対応可能なので、相続人が直接対応する手間を省けます。
2. 相続人間のトラブル防止
遺産分割協議の際に、司法書士が中立的な立場で関与することで、公平性が保たれ、相続人同士のトラブルを未然に防ぐことができます。
ただし、相続人の代理人となることはできない点に注意が必要です。
3. 相続登記の義務化に確実に対応できる
2024年4月から相続登記が義務化され、不動産を相続してから3年以内に登記を行わないと10万円以下の過料が科される可能性があります。
司法書士に依頼すれば、期限内に手続きを確実に完了できます。
4. 専門家ネットワークによる総合サポート
税理士や弁護士との連携
相続税の申告が必要な場合や、相続人間での法的トラブルが発生した場合も、司法書士は税理士や弁護士と連携して総合的に対応します。
土地家屋調査士との協力
不動産の境界確認や地積測量が必要な場合は、土地家屋調査士と連携してスムーズに解決します。
5. 相続人の時間と労力の大幅な削減
相続手続きは膨大な書類の準備や各種機関とのやり取りが必要で、多大な時間と労力がかかります。司法書士に依頼することで、煩雑な手続きを任せられ、相続人は精神的な負担からも解放されます。
また、複数の不動産や全国に点在する資産がある場合でも、司法書士が一括して手続きを代行するため、個別対応の必要がなくなります。
6. 突発的な問題にも柔軟に対応
連絡が取れない相続人への対応
相続人の中に連絡が取れない人がいる場合でも、司法書士が不在者財産管理人の選任手続きをサポートし、遺産分割協議を進められます。
海外在住の相続人への対応
海外に住んでいる相続人がいる場合でも、必要な書類や手続きを指示し、スムーズな手続きをサポートします。
銀行の遺産整理業務と司法書士の遺産整理業務の違いとは
相続手続きを代行するサービスは、銀行でも行われています。サービスの内容は、司法書士と同じ遺産の承継(相続手続き)に関するサポートです。それでは銀行と司法書士、どんな違いがあるのでしょうか。
一番わかりやすい違いは手数料です。銀行はベースの手数料が高額で、また不動産の名義変更は司法書士事務所が、相続税税務申告は税理士が行うので、さらに専門家の報酬が別途必要となります。
遺産相続手続きを依頼するときは、事前に費用の確認をしてください。
- 司法書士 費用25万円~
戸籍の収集から不動産の名義変更、預金の解約はできるが、相続税申告はできません。 - 銀行 費用100万円~
自社の預貯金の解約以外は、それぞれの専門家に別途依頼。戸籍の収集も専門家が行います。
遺産整理業務の流れ
遺産整理業務は、相続人が故人の財産や負債を適切に管理・分配するための一連の手続きです。
ここでは、遺産整理の基本的なステップをわかりやすく解説します。
1. 相続人の確定
- 戸籍謄本の収集
被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本を集め、相続人を特定します。 - 法定相続情報一覧図の作成
戸籍謄本がすべてそろったら、法務局に法定相続情報一覧図を作成してもらいます。
法定相続情報一覧図があると、金融機関の手続きがスムーズになるので、取得することをおすすめします。

2. 遺言書の有無を確認
遺言書がある場合、その内容に従って遺産分配を行います。
- 公正証書遺言
そのまま手続きを進めることができます。 - 自筆証書遺言
家庭裁判所での検認が必要となります。遺言書の検認手続きもサポートします。

3. 相続財産の調査・評価
- 資産の調査
不動産、預貯金、有価証券、生命保険、車、貴金属など調査します。不動産であれば、登記簿謄本を取得したり、市区町村役場で名寄帳を取得したりします。
預貯金の調査は、通帳やキャッシュカードを確認し、金融機関へ照会します。その際に残高証明書を取得します。 - 負債の確認
借金、ローン、未払金、保証債務などの負債も調査します。 - 財産目録の作成
資産と負債の一覧(財産目録)を作成し、相続人全員で共有します。

4. 相続方法の選択(単純承認・相続放棄・限定承認)
- 単純承認
財産も負債も全て相続する方法。3か月以内に相続放棄等をしなかった場合、自動的に単純承認となります。 - 相続放棄
家庭裁判所に3か月以内に相続放棄の申述をすることにより、初めから相続人ではなくなります。負債が多い場合でも、相続することはありません。 - 限定承認
相続した財産の範囲内で負債を返済する方法です。相続人全員で選択する必要があります。

5. 遺産分割協議
- 遺産分割協議の実施
相続人全員で遺産の分配方法を話し合います。協議には全員の同意が必要です。 - 遺産分割協議書の作成
相続人同士で合意した内容を文書にまとめ、全員が署名・押印します(実印と印鑑証明書が必要)。

6. 各種名義変更・手続き
- 不動産の相続登記
法務局で不動産の名義変更を行います。2024年から義務化され、3年以内に手続きが必要です。 - 銀行口座の解約・名義変更
預貯金の解約や名義変更を行い、相続人に分配します。 - 株式・有価証券の名義変更
証券会社で手続きを行います。通常は相続人へ名義変更(移管)の手続きとなります。 - 自動車の名義変更・保険金の請求
自動車登録や生命保険の受取手続きを進めます。

7. 相続税の申告・納付(必要な場合)
被相続人の死亡日から10か月以内に税務署へ申告します。
なお、相続税の申告は、提携の税理士がサポートします。

8. 遺産の分配
遺産分割協議書に基づいて、相続人に現金や不動産を分配します。
不動産を売却して、売却代金を分割する場合は、司法書士や不動産業者と連携します。

9. 遺産整理業務の完了
- すべての手続きの確認
名義変更や税務手続きが完了しているか最終確認します。 - 報告書の作成
すべての業務が完了したら、依頼者に報告書をお渡しします。
これで遺産承継業務は完了となります。
戸籍の収集から、不動産・預貯金の名義変更まで、相続に関するお手続きは100種類以上にも及びます。ご自身で進めるには、多大な時間と労力がかかります。私たちが、あなたに代わって全ての手続きを正確・迅速に代行いたします。