遺産相続を進めるにあたっては、まず相続人の確定が不可欠です。相続人を特定しないまま相続手続きを進めてしまうと、手続きのやり直しや遺産分割協議の無効といったトラブルが発生する恐れがあります。
相続人の確定には、亡くなった方の戸籍を詳細に確認する作業が必要です。戸籍には親子関係や婚姻歴といった重要な情報が記載されていますが、戸籍謄本の収集や内容の読み解きに苦労する方も少なくありません。
この記事では、相続人を正確に特定するための戸籍調査の手順について詳しく解説します。
このページの目次
誰が相続人になるのか
誰が相続人になるのかは、民法によって定められており、被相続人(亡くなった方)の家族構成によって異なります。
以下に、相続人の範囲と優先順位を説明します。
法定相続人の範囲と順位
- 第一順位:被相続人の子ども(実子、養子)
- 第二順位:直系尊属(父母・祖父母)
- 第三順位:被相続人の兄弟姉妹
- 配偶者は常に相続人となります。
なお、被相続人の子どもや兄弟姉妹が、死亡・相続欠格等の理由で相続できない場合、その直系の子どもが代わりに相続人となります。これを代襲相続といいます。
どのように相続人を確定するのか
相続人の確定は、相続手続きを正しく進めるための最初の重要なステップです。相続人を正確に特定しないと、後から相続手続きをやり直す必要が生じたり、遺産分割協議が無効になる可能性もあります。
以下の手順に従って、正確に相続人を確定しましょう。
1. 被相続人の戸籍を調査する
出生から死亡までの戸籍を収集
被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの連続した戸籍を集めることが必要です。戸籍には親子関係や婚姻歴、養子縁組の有無などが記載されており、相続人の範囲を確認できます。
また、相続人の現在の戸籍謄本も併せて取得します。
戸籍謄本はどこで取得できる?
被相続人が本籍地を置いていた市区町村役場で取得可能です。複数の市町村に転籍している場合は、それぞれの役所から取り寄せます。
なお、2024年3月1日から、戸籍の広域交付が始まり、最寄りの市区町村役場で取得することができるようになりました。

2. 戸籍謄本を元に相続人を確定する
故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を取得することにより、相続人を特定します。この戸籍をもとに、誰が相続人になるかを確認することが相続手続きの第一歩です。
相続人の範囲については、前述した通りです。

3. 法定相続情報証明の申請
法定相続情報一覧図とは、亡くなった方と相続人との関係を示した家系図のような書類です。
この法定相続情報一覧図に法務局の認証文付きの写しを作成してもらうことで、正式な証明書として使用できます。亡くなった方の本籍地や住所地、相続人の住所地を管轄する法務局に申請することができます。
相続手続きをする金融機関が多数であったり、相続税の申告がある場合は、取得したほうがスムーズに相続手続きを進めることができます。
戸籍謄本の取得を司法書士に依頼するメリット
相続手続きを行う際、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を収集し、相続人を特定する作業は必須ですが、これには多くの手間と時間がかかります。特に、被相続人が複数回転籍していたり、改製原戸籍や除籍謄本が関わる場合、戸籍の内容を正確に読み解くのは難しくなります。こうした場合に司法書士の専門知識が役立ちます。
司法書士は、相続に関連する戸籍の収集だけでなく、相続関係説明図の作成や法定相続情報証明制度の申請代行も行います。これにより、金融機関での相続手続きや不動産の名義変更も効率的に進めることができます。
また、司法書士は遺産分割協議書の作成支援や、不動産の相続登記手続きも担当するため、相続全般を一括してサポートしてくれます。
相続手続きが複雑であったり、相続財産に不動産が含まれる場合、または時間的な余裕がない場合には、司法書士に依頼することを検討すると良いでしょう。司法書士の専門的なサポートを受けることで、正確かつ迅速な相続手続きが可能となります。
まとめ
戸籍謄本の取得は、相続や各種手続きの基本となる重要なステップです。広域交付制度や司法書士のサポートを活用することで、手続きを効率的に進めることができます。
相続の場合は、被相続人の出生から死亡までの戸籍を正確に揃え、相続人を確定することが不可欠です。
複雑な場合は専門家に相談することで、ミスなく手続きを完了させることができます。相続人の特定が難しい場合や、不動産登記が必要な場合には、司法書士の専門知識と経験が大いに役立ちます。まずは無料相談を活用して、自分に合った司法書士を見つけるのが良いでしょう。